★2015年、黒田のひとりごと

臨床歯科を語る会 (2015年7月)

恒例の臨床歯科を語る会が七夕の時期に府中にて開催されました。7月3日夜から前夜祭が開催されて、試写や打ち合わせ、予演会などとめまぐるしく行われました。救歯会からの新人発表が卒後6年の久保洋平先生が発表するので、その予演会が深夜2時半まで行いました。朝も予演会を行い、久保先生は一睡もしていない模様。当日は見事な発表でした。4名の新人発表のトップバッターでしたが、簡潔に良くまとまっていて、素晴らしい発表で嬉しくなりました。特別講演が火曜会の須貝昭弘先生でしたが、これがまた素晴らしい発表で、時々笑いをとる話術とプレゼン内容は圧巻でした。さすが火曜会!分科会は「欠損歯列」にコメントを求められて参加しましたが、隣に金子一芳先生が座られて緊張でした。でもとても面白い内容でした。テーブルクリニックでは元黒田歯科医院の技工士玉置さんの担当でしたから、これまた緊張です。救歯会の日高先生、野地先生が賛助出演して、なかなか訴えるものがあって楽しかったです。最終日の全体会は実行委員長の千葉英史先生が座長を進めていたので、語る会のあるべき姿が如実に具現された全体会でした。発表者も厳選されて、演者も時間厳守でしたから、素晴らしい進行でした。その上、指名したコメンテーターが要領を得ない発言の場合は、途中で切ったり、その件はこのテーマと違うのでと発言を止めたり、千葉先生ならではの進行で素晴らしかったです。

帰り際に金子一芳先生に会ったら「今回は面白かったね」と仰っておられたのでとても嬉しくなりました。あの厳しい金子先生が上機嫌で面白かったなんて言うことは、この10年間伺ったことがありません。あまりに嬉しかったので、写真嫌いの金子先生を捕まえて写真に収めました。今回は良かった−! 大感激でした!

長谷川成男先生の講演会を開きました (2015年6月)

 

6月7日、市ヶ谷の桜門会館(日大同窓会)にて、救歯会の講演会を行いました。約30名ほどのごく内輪の講演会です。実は昨年6月1日にも長谷川先生の講演会を行いまして、今回で2年連続です。なぜ2年連続で長谷川先生なのかは、その業績をご覧戴けるとお分かり頂けると思います。今年で80歳になられて「もう歳だからお話しすることはございません」と断られたのですが、何としてもお話を伺いたいとお願いして叶った講演会です。テーマは「キャストクラウン50年 その適合と咬合面形態ー咬合器、咬合調整を交えて−」で、長谷川先生が自らつけて下さったタイトルです。キャストクラウンに取り組んでの研究50年を語って下さるその重みをじっくり感じ取ることができました。

長谷川成男先生の業績(抜粋) 石原寿郎教室の後継者

1933年:東京都に生まれる
1958年:東京医科歯科大学歯学部卒業
1963年:愛知学院大学歯学部講師
1971年:東京医科歯科大学歯学部講師(歯科補綴学第2教室=石原教室)
1995年:東京医科歯科大学歯学部教授(歯科補綴学第2講座)
1962年:Gysi咬合局面学説の再検討 補綴誌
1967年:咬合に関する見解の種々相 (1.下顎位、2.下顎運動、3.咬合と歯の接触)
1967年:顆頭安定位の発見(大石忠雄) 補綴誌
1968年:全運動軸を発見(河野正司) 補綴誌
1969年9月:石原寿郎教授 急逝(52歳)
1970年:Arcon Type咬合器とCondylar Type咬合器について 補綴誌
1971年:鋳造冠製作過程における咬頭嵌合位の推移 補綴誌
1972年:咬合器の再現に関する研究ーGraphic法とCheckbite法ー 補綴誌
1973年:Hanauの咬合器に聞く(H型咬合器の機構と再現性) 歯界展望
1974年:側方運動のPatternからみた咬合器選択法 補綴誌
1975年:半導体ストレン・ゲージを用いた咬頭嵌合位測定装置 補綴誌
1975年:「下顎運動と咬合器ーその研究の夜明けと現在への系譜ー」(日歯評論)
1975年:続 Hanauの咬合器に聞く(上、中、下) 歯界展望 
1975年:顆路型咬合器と顆頭点(1,2) 日本歯科評論
1975年:下顎限界運動における全運動軸の立体的測定 補綴誌
1977年:顆路型咬合器の選び方 補綴誌
1977年:咬合器の選び方ー咬合調整と近似再現と側方運動の診断ー 日本歯科評論
1979年:クラウンの咬合調整(上、下) 歯界展望
1982年:歯冠補綴物の咬合面精度(松下和夫) 補綴誌
1983年:6自由度顎運動測定器開発(板東永一) 補綴誌
1984年:多現象同時測定による咀嚼運動の解析法 補綴誌
1987年:下顎運動要素の歯牙路への影響 補綴誌
1988年:マージンチェッカーにて診査した歯冠補綴物の辺縁適合状態 補綴誌
1988年:「咬合学序説」 医歯薬出版
1997年:「臨床咬合学事典」 医歯薬出版
1998年:咬合調整後のクラウンの咬頭嵌合位における咬合接触 顎機能誌
1999年:続・咀嚼時、主機能部位の観察 顎機能誌
1999年:その人にとっての好ましい咬合像の付与の仕方について 東京都歯会誌
1999年:クラウンの適合精度に関する研究ー印象法、埋没法に関する研究 補綴誌
2001年:顎口腔系がクラウンに要求する精度から見た間接法 明倫歯誌


咬合器を触り始めますと、話が止まらなくなります。とっても咬合器がお好きなようで、触っては解説、それに関する実験のエピソード、臨床的コメントなどと、時間を忘れてお話し下さいました。
少ないメンバーでしたから、講演部分は少なくして頂き、ホンネで臨床的なコメントをお話しいただきました。時間と共にホンネのお話が聞けてとても楽しかったです。「咬合器はいじっているうちに分かってきますよ」とか、「下顎の全部床義歯は難しいですよね。あんなのうまくいくんでしょうかね」とか。納得!同感!です。

実は昨年6月1日に同じく市ヶ谷の桜門会館にて長谷川先生の講演会を行いました。タイトルは「その人にとっての好ましい咬合像の付与の仕方について」です。以前から、長谷川先生は取っつきにくい方だという先入観があって、あまり打ち解けた講演会にならないだろうと予想していたのですが、それはとんでもない間違いだということがわかりました。きわめて打ち解けたお話をしてくださいました。そのことを経験して、来年もお願いしようということになったのです。そして、今度も予想通りの素晴らしい講演会になりました。楽しかったです。「その人にとっての好ましい咬合像の付与の仕方について」は長谷川先生の論文のタイトル(1999年)です。

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